軽音楽をあなたに

ジャンルにこだわることなくこれまで聞き逃してしまった音楽を改めて拾い上げる。抜けていたパズルのピースを埋めるような。

松任谷由実 流線形’80

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  1978年11月リリース。

前作の”紅雀”より8ヶ月という短サイクルでの発表。

この頃のユーミンは結婚後の充電期間明けということと

アーティストとして成熟してきたことで次々と作品が湧いてきていたのではないか

と思う。

このアルバムは代表曲や根強く支持されている曲も多数収録されていて

ユーミンのでも人気のアルバムである。

”ロッジで待つクリスマス”で始まり、

ユーミンの曲の中ではベスト5に入るのではないかと思う名曲”埠頭を渡る風”、

山下達郎もコーラスで参加している”真冬のサーファー”、

ファンの中では好きな人が多い曲”キャサリン”、”Corvetto 1954",

シングルにもなった”入江の午後3時”、

静かに寂しい曲”かんらん車”、

次作の”ツバメのように”につながっていく内容をもつ名曲”12階のこいびと”。

 

そしてこのジャケットもノスタルジックでいい。

ユーミンのアルバムの中では私が好きなのはこれと

ひこうき雲””サーフ&スノウ”。

 

でも不思議なのは”埠頭を渡る風”は当時、オリコンチャートでは

74位止まりということです。

こんないい曲が売れなかったなんて。(アルバムは4位にチャートイン)

この曲、19歳で知ったときは本当に好きで

何度も繰り返して聴きました。

アルバム全体は

冬のイメージやサーファーというキーワードが出てきて

その後の

”サーフ&スノウ"への道程のような気もするけど、

アルバム全体のトーンは湿っているような陰影があり、

前作”紅雀”のしっとり感を残しています。

その湿り気感は荒井由実時代の面影であります。

ユーミンの声も年代によってちょっとづつ違いますが、

この頃の声が一番好きです。

しかし、単なるポップスではなく、一癖ある感じはさすがです。

そこが、他のアーティストとは違うんでしょう。

なんと表現していいかわかりませんが、詩や曲の中にはないユーミンの根底にあるロックな感じのことです。

一癖あるロックが好きな人はユーミンに惹かれます。

そんな根底の部分に共感するんです。