佐野元春 ハートビート
1981年の作品。1981年といえば、シティポップがついにニューミュージックの本流になりつつあり、それまで主流であったアリス、さだ、千春と言う御三家の人気が降下し始めた年である。
大滝や達郎が時代を作り始めると邦楽の音楽的な質はぐっと深みを増し、いわゆるシンガーソングライターも様々なスタイルが登場してきて、洋楽ファンも巻き込んで採算ベースに乗り始める。
そんな中では佐野元春の存在は、とてもカッコよかった。
歌詞の舞台がニューヨークの生活者みたいで行ったことのない外国を疑似体験できた。
朝ごはんはクロワッサンとミルク。
シャツの第1ボタンを開けて、レジメンタルの
ネクタイをラフに巻いたり。
寝ぐせを気にしながらハイスクールに行くような生活に憧れたり。
ビート文学に興味をいだいたり。
FMラジオを聞いたり。
ダンスパーティでお気に入りの彼女を気にしたり。
そんな垢抜けたボーイズライフをイメージさせるものがこのアルバムにはあった。
そんな存在もいなかったから、
佐野元春は男性ファンが多かったと思う。
言葉のチョイスや表現も活字で見てもカッコいい。
30年ぶりに聞きながらそんなボーイズライフを思いだしながら聞いている。