松任谷由実 OLIVE
1979年リリース。ユーミン7枚目のオリジナルアルバム。
ユーミンというアーティストを初めて知ったアルバム。当時中1。
このアルバム収録のシングル"帰愁”をラジオで聴いて気になりましたが、
インターネットもなくレコード店でレコードを聴かせてもらう勇気もなく、
只只、見かけた雑誌の情報源からどんなアーティストなのかを想像していました。
荒井由実と松任谷由実が同一人物だということも半年後にわかりました。
それほど当時の中1だった私の周辺にはまったくユーミンの情報はなくて
荒井由実と同一人物ということは母親から聴いてわかりました。
母親が意外にユーミンの事を知っていていろいろと聞きました。
この当時をユーミンは
”自分にとってスランプ時期・不遇時期”という事を話していた通りに
シングルヒットから見放されていてメディアへの露出もありませんでした。
そんな中で ”帰愁” はシングルヒットを狙った曲だったと思いますが、
タイアップも無く埋もれてしまったようです。
それでもこのアルバムはオリコンチャート5位にはなっています。
でもユーミンにとって納得できないのでしょう。
コーラスアレンジは山下達郎。
細野晴臣編曲がグルーヴィーな”冷たい雨”、多分、ドラムは高橋幸宏?
自殺をした女性をテーマにした ”ツバメのように” のギターはサンタナのような
ギター。今剛かな?
バックは当時の最高峰が固めている。
1979年の”OLIVEツアー”のバックバンドはブレイク前のスクエア(T-スクエア)を従えていたそうです。
ユーミン一押しのグループだったそう。
山下達郎 FOR YOU
1982年1月リリース
このアルバムは出てすぐにレンタルレコード屋さんで借りてカセットが
擦り切れるまで聴きました。
CMソングで"LOVE LAND ISLAND"が頻繁に流れていた中学卒業後の春休み。
やっと高校受験から解放されたそのときに
こんなに開放的で心が躍る曲を聴いたものだから、すぐにはまりました。
私の中では人生のベスト20に入るアルバムです。
(大滝詠一のロングバケーションもベスト20に入っています。)
早く大人になって車に乗ってカーオーディオでこのアルバムを聴きながら
伊豆の海に行きたいと夢を見ていました。
1曲目のSPARKLEのギターのイントロを聴いた瞬間はもう目の前には大きな
海がキラキラと広がり、大きな波が目の前にくるような光景が目に浮かびます。
MUSIC BOOK, MORNNG GROLY,FUTARI,YOUR EYESと名曲ぞろい。
達郎もこのアルバムにはかなり思い入れがあるようです。
“RIDE ON TIME"が売れてレコーディング予算、時間も大きくかけてもらえる
立場になって初めて理想的なアルバム作りができたそうです。
しかも前年に全国ツアーをバンドメンバーと長期にわたり行い、そのメンバーとレコーディングしたことでバンドサウンドと言っていい音になっているということです。
確かに本当にバックサウンドがダイナミックでかっこいいですよね。
アルバムジャケットも達郎のアルバムで初めていいジャケットと思えるものです。
鈴木英人さんのイラストがこのアルバムとぴったりあっている。ミラクルです。
明日から車で遠出です。海岸沿いを走るときはこのアルバムをかける予定。
それだけでワクワクします。
大滝詠一 イーチタイム
1984年リリース。
あの"A LONG VACATION"から3年後。
"EACH TIME"の時は邦楽に興味を失っていたから聴かなかった。
夏が似合わない人が日本人の夏の定番BGMとして崇拝される違和感。
別に夏のBGMの専門家ではない。
達郎も同様。
(以降、日焼けしたミュージシャンが現れ、夏サウンドを奏でることで
解決に向かっていく。)
このアルバムは流れとしては”ナイアガラトライアングルvol.2"が前に出ていたことで
存在が成り立つ。
"時計仕掛けのオレンジ"からここへの
”流れ”は線で繋がる。
ただ、ロングバケーションを越えられない。
だからこれ以降、
アルバム出せなくなるのも仕方ない。
南佳孝 サウス・オブ・ザ・ボーダー
1978年リリース
最近はYMOから端を発してジャパニーズポップスを聴く流れになっています。
あくまで流れに身を任せてサーフィンしているために到達地点はわからないのです。
今回、たどり着いたのはここです。南佳孝と言えば、はぴいえんどの解散後に
松本隆がデビューアルバムをプロデュースしたことがその筋の好きな人には有名
ですが、ここまでの流れでにより聴いたのはこのアルバムです。
1978年にリリースされた本作とトノヴァンの『ガーデニア』高橋幸宏の
『サラヴァ』は必聴3部作です。
このアルバムはYMO結成前の3名が参加しているだけでなく重要なキーマンに
なっています。坂本龍一が全編プロデュースだけでなくフェンダーローズを担当して
いてとても素敵な演奏をしています。編曲が素晴らしくセンスがよく南佳孝の
楽曲を引き立てています。アルバムの最初から細野晴臣のスティールパンが印象的
です。このアルバムは南佳孝の初期の名作としても有名なだけにとても聞き応えが
あります。
加藤和彦 あの頃、マリーローランサン
83年リリース。バブル景気の喧噪前の日本の幸福期と思える頃を象徴するようなムードがあるアルバム。トノヴァンのベストアルバムと言われることもあり聴きたいとずっと思っていましたがやっとたどり着くことになりました。バックは気心の知れた(豪華な)メンバーでリラックスした空気感が漂い聞き心地の良いアルバムです。曲は全て東京に住む男女の小さな物語というような内容なんですが安井と加藤の生活を綴っているような私小説的なものも感じます。36歳の加藤が"仕事に忙しく音楽を聴かなくなってしまった大人"に向けて作ったということらしいです。全体的なサウンドテーマは先取りした感覚だったということが想像できます。90年代渋谷系的なものはすでにここにあったということは発売が10年早かったということだと思います。
オフ・コース ワインの匂い
1975年リリース。オフコースの名前がまだ”オフ・コース”だったころ。2人だったころの名作としてファンの間では有名な作品です。オフコースと言えば80年代以降は熱狂的な女性ファンが多く社会現象とも言えるくらいのセールスを誇ったまさにスーパーグループでした。そのために音楽性は語られず、洋楽やロックが好きな人たちは距離を置いた存在でした。私は中1の12月にラジオで初めて”さよなら”を聴いたときにあまりの素晴らしさにシングル盤を買って何度も聴いたのを覚えています。B面の”汐風の中で”もすごい好きでした。しかし、学校ではオフコースが好きだとは恥ずかしくて言えなかったことを覚えています。そんなオフコースのライブアルバム”LIVE"をずっと聴いていたのですが、完璧なバンドアンサンブルで本当にかっこいいライブバンドだと思いました。
ということで今更ながらロックバンドとして精査していくために初期の名作を聴いてみようと思った訳です。このアルバムはすごいですね。フォーク臭さはまったくありません。曲のタイトルにその臭さはあるもののそれは仕方ありません。初期のユーミンすら曲のタイトルに昭和臭さがあるものもあるのだから。サウンドはまさに日本のA&Mです。アンニュイなアコースティックギターやエレピサウンド。小田さんの声もクリスモンティスやニックデカルロを思い起させます。そしてセンシティブで洗練された編曲。軽く差し込まれたオーケストレイション。ビートルズのスタジオ制作没頭時期のアルバムやビーチボーイズの”ペットサウンズ”からの影響も見て取れます。初期のステージではマービンゲイのカバーもやっていたようです。このアルバムは制作時間500時間を越えてサディスティックミカバンドの記録を抜いたということですが本当に綿密に編曲されている2人の完璧を求める姿勢を深く感じるアルバムです。