軽音楽をあなたに

ジャンルにこだわることなくこれまで聞き逃してしまった音楽を改めて拾い上げる。抜けていたパズルのピースを埋めるような。

アルカトラズ ライブ '83

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 2010年リリース?

1983年10月、カリフォルニアで行ったライヴ音源。

初来日公演(行きました。)を前にして行ったこのライヴはアメリカのローカルFM局でオンエアーされたものらしいが、とにかく音がいい。

そしてこのブートレッグまがいのジャケット。貞子をイメージ?このセンスは微妙。

マーチンデニーなどのエキゾ系イージーリスニングのアルバムジャケットのよう。

20歳のイングヴェイのギター・プレイはみずみずしくもあり、そのテクニックはすでに神の領域だが、それにも負けていないのがグラハムのグッドコンディションヴォイス。これはボーカルがメインのアルバムだ。

活動期の公式アルバム”ライブセンテンス”よりもこちらのほうが断然良い。

演奏のパッションがすごくてライブ会場にいるようだ。

なぜか最後にボーナストラックとして、ジョージリンチ参加の”オールナイトロング”が入っていますが、これもなかなかいい。

イングヴェイのギターはワンパターンで飽きるので最後に正統的なハードロッキンなジョージのギターを聴くとやっはロックギターはクラシックスケールよりこっちかなとも思ってしまう。

 

レインボー オンステージ

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 1977年リリース

高校1年のときに熱狂的な洋楽好きになるきっかけがレインボーだった。

当時、洋楽雑誌といえば”ミュージックライフ”。年間ファン投票ではレインボーとクイーンが常に1位を争っていた。ハードロックやヘヴィメタルなどの硬質なロックを求める少年達は必ずレインボーを聴いていたと言っていい。

多分、30年ぶりに聴いてみようと思い”デラックスエディション”を入手。

ステージの始まりにオズの魔法使いの映画の一部が流れて“OVERTHE RAINBOW"の

オープニングで照明がついた瞬間にギターのリフが突き刺さる。

”KILL THE KING"だ。

この瞬間が一番かっこいいと言っていい。

名曲”KILL THE KING"はハードロック界でNo.1と言えるライブオープニング曲である。

これと争うのは"HIGHWAY STAR" "BURN" "ROCK'N ROLL""NEON KNIGHTS"パンクでは"LONDON CALLING"。

今回買った ”デラックスエディション”は音質が格段に上がっていて ライブの名盤であるディープパープルのライブインジャパンに匹敵するくらいのライブアルバムに仕上がっている。

"虹をつかもう" 邦題がいい。この曲はジミヘンドリックスの影響を強く感じる。高校生の時にはわからなかった。

メドレーでのリッチーソロ”ブルース”の味も大人になってわかるところ。リマスターではこの辺のミドルテンポの曲の良さが際立って聞こえる。

”ミストゥリーテッド”

リッチーのギターが本当に良く聞こえる。

リッチーってライブではワイルドなギターなんですよね。

リマスターされたこのオンステージはぜひ聴いてみてください。

 

松任谷由実 流線形’80

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  1978年11月リリース。

前作の”紅雀”より8ヶ月という短サイクルでの発表。

この頃のユーミンは結婚後の充電期間明けということと

アーティストとして成熟してきたことで次々と作品が湧いてきていたのではないか

と思う。

このアルバムは代表曲や根強く支持されている曲も多数収録されていて

ユーミンのでも人気のアルバムである。

”ロッジで待つクリスマス”で始まり、

ユーミンの曲の中ではベスト5に入るのではないかと思う名曲”埠頭を渡る風”、

山下達郎もコーラスで参加している”真冬のサーファー”、

ファンの中では好きな人が多い曲”キャサリン”、”Corvetto 1954",

シングルにもなった”入江の午後3時”、

静かに寂しい曲”かんらん車”、

次作の”ツバメのように”につながっていく内容をもつ名曲”12階のこいびと”。

 

そしてこのジャケットもノスタルジックでいい。

ユーミンのアルバムの中では私が好きなのはこれと

ひこうき雲””サーフ&スノウ”。

 

でも不思議なのは”埠頭を渡る風”は当時、オリコンチャートでは

74位止まりということです。

こんないい曲が売れなかったなんて。(アルバムは4位にチャートイン)

この曲、19歳で知ったときは本当に好きで

何度も繰り返して聴きました。

アルバム全体は

冬のイメージやサーファーというキーワードが出てきて

その後の

”サーフ&スノウ"への道程のような気もするけど、

アルバム全体のトーンは湿っているような陰影があり、

前作”紅雀”のしっとり感を残しています。

その湿り気感は荒井由実時代の面影であります。

ユーミンの声も年代によってちょっとづつ違いますが、

この頃の声が一番好きです。

しかし、単なるポップスではなく、一癖ある感じはさすがです。

そこが、他のアーティストとは違うんでしょう。

なんと表現していいかわかりませんが、詩や曲の中にはないユーミンの根底にあるロックな感じのことです。

一癖あるロックが好きな人はユーミンに惹かれます。

そんな根底の部分に共感するんです。

 

 

 

 

ブレッド&バター Monday Morning

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 1980年リリース。日本版ウエストコーストサウンド=湘南サウンド

=ブレッドアンドバターが完全に確立されたと言っていいでしょう。

前作から引き続き、細野晴臣にサウンドメイキングを依頼したかった

ようだがYMOが大ブレイクしてしまい断念。松原正樹が代役に。

サウンドは全体的にかなりシンプルで都会的になったことで二人の

ハーモニーがかなり強調されて心地よく聴きやすいが歌謡曲との

境目がぎりぎりという感じもある。

サウンド的にはこれぞ"AOR"という曲も多く、お洒落邦楽の最先端

だったのではないかと思う。

代表曲は”マンデーモーニング”。

70年代の名曲を再録音"マリエ”。1曲目の”HOLD ON"もいい。

今、見るとこのジャケット。どう見ても、普通の新橋のサラリーマン

のおじさんが二人で意味深な休日を海で過ごしているという感じの

ジャケットに見える。

でも二人はお洒落で今も、今時のリタイアお洒落おじいさんと

いう感じなので当時、このジャケットもそんなにおかしいことでは

なかったのだろう。

 

イエローマジックオーケストラ ライブアット武道館1980

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 1980年の12月に行われたYMOの伝説の武道館音源がCD化されていた。

しかも、プレミアム価格になっていて、もはや定価で買えることはない。

ヤフオクで3000円で購入がやっと。

中学生時代にFM−NHKでオンエアされた時にカセットで録音して擦り切れるほど

聴きました。

その時の記憶では"在広東少年”がすごい印象的でもう一度聴きたいと思っていました。

まあ、この曲は矢野顕子だけど。

ライブのラストが”ALL Need  Is Your Love~テクノポリス”への流れでそれがすごい印象的でもう一度聴きたかったんですが、

残念!!

”All Need IsYour Love"はカットされているし、テクノポリスはLAツアーの音源に

置き換えられている。武道館音源ではボルテージがマックスで”TOKIO”ではなくて

”東京”と叫ぶユキヒロが印象的だったんだけど。

改めて聴いて思った事は、”ライオットインラゴス””ナイスエイジ””シチズンズオブサイエンス”あたりがカッコいい。"ライディーン”もエネルギーいっぱいの演奏です。

武道館だけにワールドツアーの音源よりも観客の歓迎ムードがポジティブ。

当時の印象よりもロックバンド感がある。

”在広東少年”はこの頃のライブで聴くのが一番だということは確かだった。

 

 

 

 

ブレッド&バター Late Late Summer

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 1979年リリース。4年の沈黙を破って再デビューとなる代表作。

再デビューをバックアップしているのが、ユーミン細野晴臣

再デビューにあたっては、グループコンセプトを湘南にしぼり、

海、夏をイメージした曲が中心となり、従来持っていた透明感のある

ハーモニーと相俟って、不動の地位を築き上げるきっかけとなった。

このアルバムは全曲を細野晴臣が編曲であり、リズムオリエンテッド

な仕上がりです。ユーミンは3曲提供ですが1曲目の"あの頃のまま”

は、ブレバタの代表曲となりました。本当は入るはずだったという、

ステーヴィーワンダーからもらった曲”I Just Called To Say I Love You"

ユーミンの詩、細野の編曲でかなりの仕上がりだったようですが,色々

あってお蔵入り。もしもこの曲が入っていたらば日本を代表する

ロック&ポップスアルバムとしてもっと有名になっていたに違いない。

それを除いても良いアルバムです。メロディーとハーモニーが心地よく

このアルバムに影響を受けて湘南に住むようになったという人も多い

らしい。実はブレバタを初めて聴きました。

 

松任谷由実 紅雀

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 1978年3月リリース。 松任谷由実として初のアルバム。

1年半ぶりのアルバムということが大きく言われているようですが、

当時は1年半もブランクを明けるのは冒険だったのでしょう。

今なら3年ぶりなんてざらですが。

チャート2位。

ということはユーミンはもうニューミュージック界の女王としてその地位を

不動のものにしていたんですかね。

でも同時発売のシングル”ハルジョン ヒメジョン”がチャート80位止まり、

ということは、

”表舞台=お茶の間”との距離は持ちながらも、アルバムを買ってくれる顧客はしっかりと押さえていたんでしょう。

内容はオープニングからゆったり、しっとりしたテンポの”九月には帰らない”

で始まります。この曲のイメージが全体を包み込むような感じです。

そして名曲”ハルジョン ヒメジョン”へ。

最初のこの流れがこのアルバムのメインと言っていいです。

その後は、

アントニオ カルロス ジョビンやA&M系ポップスに影響を受けたような曲につながって行きます。1977年に加藤和彦南佳孝がボサノバに影響を受けたアルバムを発表していますので、シティポップスが最もブラジル音楽に接近した時代。当然のごとくユーミンとそのプロダクションチームが影響を受けたのものと思えます。

私はユーミンの実物写真を、初めて見たのはこのアルバムジャケットの写真です。

12歳くらいだと思いますが、”ハルジョン ヒメジョン”ってなんだろうと思い、しかも

見た事ないような服を着ていて神秘的なオーラを持った写真だと思って非常に気になっていました。

36年が経ってやっとこのアルバムを聴く事となりました。

ユーミンアルバムの中で一番地味だという意見が多く、ユーミン自身も同じことを言っています。手触りはひこうき雲のような感じでセンチメンタルでノスタルジックなムードです。

キャッチーな売れ線メロディーだったり歌謡ポップス的な聴きやすい構成の曲やサウンドではありません。

そこがコアな人たちから指示される理由です。

メディアからは不評で売り上げ累計枚数も落ち込んだ事で年内に”流線形80”を慌ててリリースして”従来のユーミン”健在をアピール路線することとなります。

でもこのアルバムはブランク後に女王の地位を失うかもしれない状況の中であえてチャレンジしたのがすごいことでユーミンのクリエーションも溢れ出てくる時期だっと思います。そんな時期に出た奇跡の一枚です。